私たちは、日々さまざま選択をしながら生きています。小さなことから大きなことまで、意思決定のたびに、心は揺れ動き、頭では過去の経験や知識に照らし合わせ、「より良い」「正しい」と思える道を選ぼうとします。失敗はしたくないですからね。私自身、どちらかと言えば優柔不断な方なのですが、そんなとき頼りになるのが、この「ワクワク」という基準です。
①最高のエネルギー源 心理学の内発的動機付けとは、報酬や罰といった外部要因ではなく、活動そのものへの興味や楽しさ、達成感によって行動が促される状態です。
【ポイント】「ワクワク」は、まさにこの内発的動機づけのサインです。
人は、心から「やりたい!」と感じる(ワクワクする)選択をすると、自律性(自分で決めている感覚)と有能感(能力を発揮できている感覚)が高まります。これにより、途中で困難に直面しても、モチベーションが持続しやすく、結果的に高いパフォーマンスを発揮し、自己成長につながります。
→ ワクワクは、行動を継続させるための最強の燃料になる。
②身体感覚が「正しい」直感を導く
神経科学者アントニオ・ダマシオが提唱したソマティック・マーカー仮説によれば、私たちは決断を下す際、過去の経験に基づいて生じた身体的な反応(情動)を「マーカー」として利用しています。論理的思考だけでは時間がかかる複雑な状況でも、快・不快といった「情動」が潜在的な結果を「直感」として脳に伝え、意思決定を助けています。
【ポイント】
頭で考えても決められないとき、「ワクワクする」という感覚は、過去のポジティブな経験や、無意識が「自分にとって最善」と判断した未来の予測が、身体感覚(ソマティック・マーカー)として表れている可能性があります。
論理と感情が衝突したとき、この身体から湧き出る「ワクワク」というポジティブな情動は、あなたの無意識が持つ知恵を反映した「正しい直感」であると信頼してみましょう。
→ ワクワクは、経験に基づいた無意識の知恵からのシグナルである。
③. 失敗を乗り越える力
バーバラ・フレドリクソン博士のポジティブ感情の拡張・形成理論によると、喜びや興味、満足感といったポジティブな感情は、私たちの思考や行動の範囲を「拡大」させる効果があります。視野が広がることで、より創造的になり、新たなリソース(人間関係、知識、スキルなど)を「構築」しやすくなります。
【ポイント】
「ワクワク」する選択をすると、その過程でポジティブな感情が生まれ、思考が柔軟になります。
もし失敗したとしても、「まあ、楽しかったからいいか」と立ち直りが早く、その経験から新しい学びを得る(リソースを構築する)ことができます。逆に、気が進まない選択をすると、不安や恐れから視野が狭まり、問題を解決する柔軟性が失われがちです。
→ ワクワクは、思考の幅を広げ、次の成功に必要なリソースと回復力を育む。
「迷ったらワクワクする方を選ぶ」ことは、単なる楽観論ではなく、内発的なエネルギーを最大限に引き出し、無意識の知恵を信頼し、未来の可能性を広げるという、心理学に基づいた戦略的な意思決定なのです。
まとめ
失敗を避けることも大切ですが、人生の転機となるような出来事に直面し、普段と違う決断を迫られたとき、その瞬間に抱く「感情」こそが重要です。 その決断は、心の調子や体調にも大きな変化をもたらすことがあります。
豊かで興味深い人生とは、主観的な「ワクワク」を感じることで、より大きな幸福を得られるものです。
ぜひ、この考えを参考に、あなたらしい人生の彩を楽しんでください。

